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「で、自分より大きい人をわざわざ背負って連れ込んだ、という訳ね」
呆れたようなエミの視線が痛い。
守衛団の宿舎よりよっぽど近い自分達の宿舎に彼女を背負ってきただけでもだいぶ重労働だというのに。
「とりあえず処置はしておいたわ。破けてる服は中のシャツとかなら縫えるけど、デニムはちょっと……」
「いいよ、いいよ。無理にしなくても」
彼女は今、サイズがエミのでは合わないので僕の寝間着を着せられて僕のベッドに寝ている。
エミを寝かせない訳にもいかないし、僕はソファーで寝てもいいだろう。
ちなみに着替えさせたのは当然ながらエミだ。
僕には恥ずかしくて出来ないし、彼女にも失礼だろう。
「お兄ちゃん、どうするの?とりあえず守衛団の上級兵士さんが一晩戻らなかったら結構な騒動にならないかなぁ……」
「なったら……面倒だなぁ……」
彼女が落とした銃器はとりあえず仕込まれていた転送魔術を発動して、元の保管場所に送っておいた。
少なくとも、路地に武器だけ転がっているよりはまだマシだと思ったのだが……
「とりあえず、エミは寝てていいぞ。僕が診ておく」
眠そうに目を擦るエミを促す。
「わかった。お兄ちゃんも無理しないで、寝たほうがいいよ?」
「あぁ、そうする」
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