1.『Red fraction』

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「…………ん?」 いつの間にか寝入っていたのか、僕は突っ伏していた毛布から顔を上げる。 日は既に昇り始め、紺よりも色濃い夜空は陽光が混ざって色褪せ始めている。 彼女はどこかあどけない寝顔のまま、ベッドに眠っている。 顔にかかって鬱陶しげな前髪を払ってやろうと彼女に触れた時だった。 「うっ、うんっ?」 一瞬だけ寝苦しげに顔をしかめて、彼女は目を覚ました。 同時に飛び上がるように起きて、両手にいつの間にか握ったゴツい拳銃を向ける。 アンダーレイルに付けられた銃剣と言い、二挺拳銃と言い、決まりまくってるなぁ…… と、暢気な感想といきなり拳銃を向けられたことに対する恐怖がない交ぜになる。 「ここはどこだ?私に何をした?お前は誰だ?」 「ここは魔術学園の平民学生用宿舎。倒れているお前をここまで運んで手当てして寝かせた。そして僕はアンリ・グラナディッツェア。とりあえず魔術師見習いだ。わかったら銃を下ろしてくれないか?」 とりあえず手を挙げながら訊かれたことは全部答えた。 このままだと拳銃で胸に風穴が開くか、緊張で胃に穴が開くかしそうだ。 「あれ、あなた……昨日の夜の……」 彼女は僕の声でやっと思い至ったのか、恥ずかしげに拳銃を下ろす。
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