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「とりあえずその銃を下ろしてくれないか?話がしにくい」
「これは失礼を……すまなかった。許してもらいたい」
手元に開いた幾何学の円陣に拳銃を落として、どこかに送ってから彼女は銃口を向けたことを謝る。
「いや、驚くのも無理はないだろう。見知らぬ野郎が自分の寝てる側にいるんだからな。警戒心がないほうが問題だ」
むしろ、兵士としては好ましむべき反応じゃないか。
そう付け加えて僕はテーブルにエミが置いていてくれたであろうポットからグラスカップに水を入れて、彼女に渡す。
「名前を訊いてもいいか?ミス・トリガーハッピーなんて呼ばれ方は嫌だろう?」
こくこくと水を半分ほど飲んで、溜め息を吐いてから彼女は名乗り出す。
「私はリヴィアナ・ユーティライネン。お水、ありがとう……えーっと、グラナディッツェア殿」
「アンリでいい。そっちもリヴィ、でいいか?」
自分の名前ながら噛みそうになるファミリーネームで呼ぼうとするリヴィをたしなめつつ、距離を詰められないかと愛称を提案してみる。
少しでも打ち解けておけば、シンシアのとの衝突もうまく誤魔化せるかもしれない。
そういう打算も含みだが、せっかく目の前に素敵な女性がいるのだ。
少しは理屈抜きに好印象にしておきたくもなる。
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