1.『Red fraction』

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「こんな月夜は化け物共もはしゃぎそうだ。さぁ、冷えるし帰ろう」 「うん」 静かな月夜の下、僕達は割と早足に歩いて宿舎に辿り着いた頃だ。 半鐘の音が遠くに鳴る。 化け物が結界を越えて、都市内部に入り込んだ時に鳴る半鐘だ…… 「2週間ぶりか、結界を越えてきた化け物は……」 「お兄ちゃん、大丈夫だよね?」 エミは怯えた顔で僕にすがり付く。 僕はそんなエミの頭をぽんぽんと叩いてから撫でる。 「大丈夫だよ、エミ」 「そう、だよね……ごめんなさい、まだ怖いの……」 やはり安心出来ないのか、エミは僕から離れない。 あの日のトラウマが未だに拭い去れないのだろう。 僕はと言えば、もうあの日で恐怖も含む全てを無くした気がする。 「部屋に入ろう。ここだと却って危ないよ」 「……うん」 ようやく震えが止まったエミと宿舎の中へと入る。 もう人がいないと思っていたロビーに真っ黒なセーラー服姿の一人の少女がソファーにふんぞり返っていた。 いや、正確に言うならば…… 「遅いぞ、グズが。そこの腐れ妹と外で乳繰り合ってたか?全く、この私を待たすとはいい度胸じゃないか。まるごと消滅するか?」 外見年齢詐称20年セーラー服ドS暴言赤黒髪サイドテール野獣ババァ先生が正解だったか。 「アルネレーヴェ女史、そもそもお呼び立てしていませんが?」image=418825523.jpg
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