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「何でだよ、どうして……どうしてなんだよ!どうして今さらそんな事言うんだよ、なぁ有紀、何か言ってくれよ」
雅史は必死になって言葉を投げてくる。だが私は、黙ってうつ向いているだけだった。
「だからさぁ、そう言う事で結婚出来ないんだよ、もう帰った方がいいんじゃない」
拓也は吐き捨てるように言った。
「あんたさぁ、有紀の事幸せにしてくれるのか、どうなんだよ!」
突然大きな声で雅史が言った。周りの視線が私達の席に集まるのがわかった。私もびっくりして顔を上げた。
雅史は泣いていた。
それを見てしまった私はガツンと頭を殴られたように打ちのめされた。キリキリと胸が痛む……
「ああ、幸せにするよ」
拓也がそう答えると雅史は立ち上がり、苦虫を噛み潰したような顔をしながらそのまま店を飛び出していった。
「これで良かったのか?」
「うん…」
私は頷くしかなかった。そうこれが私の求めた答えだったのだから……
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