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この日を境に私は平日の夜拓也の家へ泊まるようになった。
私は婚約者とは遠距離恋愛のため、以前から週末だけ婚約者のもとへ通っていたのだ。
身体の相性がピッタリな拓也とは、見つめ合うたびにキスをして毎日のように愛し合った。そのたびに私の心と身体には拓也の事が刻まれていく。
私が自宅に帰るのは朝着替えに帰るだけで、バイトが終わると真っ直ぐ拓也の家に帰った。
ご飯を作り一緒に食べた。拓也はいつも残さず食べてくれた。一緒にテレビを見て、一緒に笑った。時にはチャンネルも争った。一緒にお風呂に入り、一緒に身体を求め合い、優しいキスのあと一緒に眠った。キスは毎日飽きるほどした。
拓也の左側の私の指定席は、私の心を癒してくれる唯一の優しい場所だった。
本当に幸せな毎日だった。何をするのも一緒だった。
拓也と毎日のように愛し合い一緒に過ごしていくにつれ、週末の婚約者との時間は私にとってだんだん苦痛な時間に変わっていった。
途切れる会話の間に拓也の事が思い浮かぶ……
ついつい何でも比べてしまう。
考えるのは拓也との未来図ばかり…
そう私はもう婚約者より拓也の方を愛してしまっていた、自分でもはっきり解った。
拓也をずっと独占したい。
そう思った、愛しかった。
結婚まで1ヶ月を切った金曜日の夜私はいつものように拓也の隣に座ると、おもいきって自分の気持ちをぶつけた。
「ねぇ、拓也、明日私の婚約者に会ってくれない?私結婚したくないの」
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