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「えっ?」
拓也は口を開いたまま、あぜんとした顔で私を見つめる。
そりゃそうだ、突然そんな事言われたら誰だってそんな顔になるのかもしれない。
「何て顔してるの、変な顔」
私は思わず吹き出してしまった。
「いや…有紀、自分で何言ってるか解ってる?」
「うん、解ってる」
「解ってるって……それはちょっとまずいんじゃない?」
「まずくない、大丈夫だから…」
「大丈夫だからって大丈夫じゃないだろ、それ絶対にまずいよ、だってさぁ、よく考えてみろよ、お互いの親にも会って婚約も済んでもう結婚まで1ヶ月ないんだぞ、そこで俺が婚約者に会ったらやっぱまずいだろ」
「うん、だからまずくていいんだって、私結婚したくないんだから…」
「まずくてもいいって…」
拓也は考え込むように黙りこんだ。
「拓也、結婚するのは私なの、私がいいって言ってるんだからいいでしょ、それとも私は自分の気持ちに嘘ついてまで結婚しなきゃいけないの?」
「それはしなくてもいいじゃないか」
「じゃあ会ってくれる?」
私はじっと拓也を見つめた。
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