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一
それは突然の事だった。
当時、小学生だった僕の心、いや脳内か、そこに直接声が響いた。
ー 人間が人間を越える時、百人に力を。神をも喰らう百番目をあなたが ー
はっきりと聞こえたその声に辺りを見渡すが、クラスメイト、他の連中には聞こえた感じはなかった。
僕だけか?そんな事を考えたように思う。
その日、自宅に帰った僕は、アニメが終わってからの夕方のニュースで、東京のある街が壊滅状態にある事を知った。
大きなビルの群れは見るも無惨に崩れ落ち、黒煙が視界を遮るように辺りに立ちこめている。
そこに無数に倒れた人、人、人……
死んでいるのだろうか。
無数の人間が散らばる中、三人だけ地に足をつけ、しっかりと立っていた。
何だこの人達は?
どうやら映像は撮影用ヘリによって、映し出されているものらしかった。
上空からの撮影、ズームはできるが音声は拾えず、三人は何か話しているようだが、何も聞こえなかった。
代わりに、ヘリコプターに乗るキャスターらしき人の
「信じられません、人間にこんな事が……できるなんて、そんな……信じられません」
という焦りの声だけが、繰り返し聞こえていた。
僕の心の奥底、ひとつ鼓動がドクンっと跳ねた。
ー 神をも喰らう百番目をあなたが ー
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