ラクガキ

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今日も奈落の城で部屋にこもりっきりなかごめ。明後日から試験があるため必死に勉強をしているためである。 そこへやってきたのが奈落。暇なのか勉強の様子をまじまじと見つめ、教科書をパラパラと読み始めた。 犬夜叉とは違い、騒ぐわけでもなくしゃべりかけるわけでもなくただそこに居座っている。 たぶん、現代の教科書に興味を持っているのであろうとかごめはひとりで解釈している。 いつものことなのでそっとしておき、自分のことを進める。 「かごめ」 「なぁに?」 珍しく声をかけてきたのでノートに顔を向けたまま返事をすると、そのノートにそばにあった鉛筆で 「これはなんというのだ?」 と聞いてきた。それは英語のLという文字だ。 最近かごめのもってくる教科書や辞書などで現代の文字を少し覚え始めたらしいのだが、さすがに英語はまだ読んでいないらしい。 「それは、英語のエルよ」 「えいごのえる?」 教えてあげたいが、自分のことで精一杯なかごめは英語の辞書や教科書を差し出した。 「これ読んでみる?」 差し出した教科書たちを奈落は素直に受け取り、読み始める。 かごめは嬉しそうにその様子を見ていたが、自分の勉強を忘れそうになりあわてて再開する。
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