ラクガキ

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後日、試験を終えて帰ってきたかごめにすぐさま奈落はかごめを呼ぶ。 一体何事かと急いで奈落の部屋に行くと、奈落は異常な妖気を出してかごめを待っていた。 な、なにこの妖気…ていうか殺気ともいえるわ……。 急に恐ろしくなり入るのに戸惑うが、勇気を持って部屋へと入る。 「な、何か…用?」 「貴様、どういうことだ?」 質問しているのはこちらなのに質問し返してきた奈落に訳もわからずもう一度質問してしまうかごめ。 「え?何が?」 「何がではない!これだ!」 奈落が見せてきたものは、ノートの切れ端。よくよく見るとその切れ端には絵と文字が書いてある。 かごめはハッとしてそのノートの切れ端を奪い取ろうとするが奈落によってそれは敵わなかった。 「ちょっと!それ返してよ!」 「だめだ。質問に答えろ。これはどういうことだ?この絵の男に好きだと書かれている。貴様この男に惚れたのか?」 「え、それ…読めるの?」 「かごめから借りたえいごの書物でな」 かごめは理解した。この前珍しく声をかけてきたのはこの英語の意味を知りたかったから。たぶん、すべての文字を聞くとかごめに切れ端を隠されてしまうと思ったのだろう。だから頭文字のLだけを聞き、自分で調べかごめに問い詰めたのだろう。 しかし、かごめは不思議に思う。 「その絵誰だかわかんないの?」 「わからんから聞いているのだ」 ……それ奈落なんだけどなぁ… 我ながらうまく書けたと思ったのにと少しショックを受けているかごめ。 奈落は誰だ?と何度も聞く。がっくりとしながら絵の正体を教えてあげようと思うが、英語の部分を知られてしまったために教えることができない。 現代に戻り、学校でふとした時に書いてしまったそれ。なかなかうまく書けてるから、自分の想いを言葉で添えたのだが、後に照れくさくなって消そうと思っていたのだ。しかしその前に奈落に見つかってしまうとは……。 「いったい誰だ!教えろかごめ!」 「だ、誰でもいいでしょ!」 こうなったら意地でも言えなくなってしまったかごめは逃げるように奈落の部屋を出ていった。 後日、奈落はそのノートの切れ端を神楽たちに聞きまわっていたという。
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