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「ありがと。もういいや。これ以上食べると気持ち悪くなりそうだから」
半分食べたところでストップをかけたかごめは、一息ついた。
「そうか。まだ、残っていたのだが…残念だな」
何に対しての残念なのかよくわからないが、深く考えないことにすると決め込むかごめ。
「かごめ、薬を飲め。これを飲んだら寝ろ」
そう言われ、渡された薬を飲もうと紙の上の粉を見た。
頭がぼんやりしているからなのか、手が言うことを聞かず手こずっていると。
「貸せ」
奈落にもう一度奪われてしまう。飲ませてくれるのだろうと、待っているとあろうことかその薬を自分の口の中へそして、水を含んだと思えば、かごめに口づけをしたのだ。
「んぅ!!」
舌でかごめの口を開かせ、含んでいた薬を流し込んでいった。
そのままコクリと薬を飲んだことを確認すると奈落が離れて行った。
「うぅ…///」
ふ、不意打ちはずるいわ!
お粥のことといい今のことといいさらに真っ赤になったかごめ。
何も言えずにただ睨みつけている。
「くくっ。貴様が飲めないでいるからだ」
そう言って恥ずかしがっているかごめを眺めている奈落は、どこか嬉しそうにしている。
「もう!うつっても知らないからね!」
「ふん。人間などの風邪などうつらぬわ。わしは人間ではないからな」
「むぅ」
ふくれっ面のかごめは何も言い返せないのか黙ってしまう。
くくっと笑いながら頭をなでてやり、
「早く寝ろ。悪化しては看病の意味がない」
布団にもぐりこませると、もう一度頭をなでてやる。すると、かごめも気持ちがいいのか、奈落になすりついてくる。
「ゆっくり休め、かごめ」
「…ここにいてね?」
ここにいなくなることを心配しているのか、不安な顔をして奈落に言った。
奈落は安心させるように穏やかな顔で
「大丈夫だ。ここにいる」
そう言うとホッとしたのか、ゆっくり目を閉じ、夢の中へと旅立った。
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