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パタパタパタ
誰もいない静かな朝の廊下を速足で…いや、ほぼ小走りで駆けている小柄な少女が1人。
「まったく……どうしてここの男共は自力で起きるってことをしないんだ。毎朝起こしてやってる心優しい私を少しは敬えってんだ。」
彼女はぼやきながら、昨夜の巡察担当であった彼らの部屋の前で止まり襖に手をかけた。
そして息を思いっきり吸い込み……
「起きやがれ平隊士共!飯だこのやろぉぉぉぉおお!今すぐ起きないと死ぬぞゴラァ!!」
襖をスパーンと開け、声高らかに叫んだ。
すると、今まで熟睡していた男達は慌てて飛び起き、静かな空間が一瞬で賑やかになる。
「みんな起きたな!よし、じゃあ次だ!!」
その部屋の男達が全員起きたことを確認した彼女は、また廊下を小走りで駆けてゆく。
彼女が去った後、
男の1人が呟いた。
「……時雨若葉は今朝も恐ろしく逞しい。」
彼女がこう言われるようになった理由は、また後程。
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