1.ハジマリ

2/11
前へ
/11ページ
次へ
パタパタパタ 誰もいない静かな朝の廊下を速足で…いや、ほぼ小走りで駆けている小柄な少女が1人。 「まったく……どうしてここの男共は自力で起きるってことをしないんだ。毎朝起こしてやってる心優しい私を少しは敬えってんだ。」 彼女はぼやきながら、昨夜の巡察担当であった彼らの部屋の前で止まり襖に手をかけた。 そして息を思いっきり吸い込み…… 「起きやがれ平隊士共!飯だこのやろぉぉぉぉおお!今すぐ起きないと死ぬぞゴラァ!!」 襖をスパーンと開け、声高らかに叫んだ。 すると、今まで熟睡していた男達は慌てて飛び起き、静かな空間が一瞬で賑やかになる。 「みんな起きたな!よし、じゃあ次だ!!」 その部屋の男達が全員起きたことを確認した彼女は、また廊下を小走りで駆けてゆく。 彼女が去った後、 男の1人が呟いた。 「……時雨若葉は今朝も恐ろしく逞しい。」 彼女がこう言われるようになった理由は、また後程。 .
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加