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「そいつなのか…クロノス」
「そうだよ、凌壽」
(鷹がしゃべった!?)
クロノスは平然としていたが初めて見た燐は平然としていられる訳がなかった。
「おいクロノス。あの娘に説明してないのか」
凌壽と呼ばれた大鷹<オオタカ>にビクッとした。凌壽は怖がらせたと思いクロノスの肩から燐の肩に移り、羽で頬を撫でた。燐は目を見開き優しく微笑んだ。今度は凌壽が驚き、胸が温かくなるのを感じた。
「燐よ、彼は凌壽。ある呪いで大鷹に変えられたんだよ」
「え…?ていうか私の名前…」
凌壽の頭を撫でながら話を聞いた。
「知っているよ。ボクは神様なんだから」
「あ…そうですか」
「で、君をここに連れて来たのは彼、凌壽の呪いを解いてほしいんだ」
その言葉に燐は驚き凌壽を撫でていた手を止めた。
「頼む。君にしか頼めないんだ」
そう言ってクロノスは頭を下げた。
「あ、頭を上げて下さい!」
燐はクロノスに近寄り、肩を掴んで頭を上げさせた。
「だが…」
クロノスが始めて言い淀んだ。燐は笑顔で
「任せてください!困っている人を放っておけませんから。私でいいならお受けします。」
答えた。
歯車は回りはじめた。
もう誰にも止められない……
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