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白い箱の様な空間
その中に存在するのはなんの変哲もない椅子とそれにただ座っているだけの一人の少女
少女の目の前の頑丈な扉は一日に数回開き、そこから『鬼』が『影』を引き連れ入って来る
そして『影』は少女へと襲い掛かり、少女はそれを何の躊躇いもなく殺す
全部殺し終わると少女はまた何もなかったかのように椅子へと座り、そこから『鬼』による地獄の時間が始まる
何の理由があるわけでもなく、ありとあらゆる暴力、魔法、その他様々な苦痛が少女に与えられる、地獄の時間
所謂、虐待というやつだ
しかし少女は表情一つ変えない
……いや、変えられない。表情を変える、ということすら思わない。思えない
原因はこの時間が少女にとっての日常の一つである、ということもあるが、それよりも大きなものがある
幼い頃、それこそこの世に生まれた直後からこういう生活を否応なしに強いられてきたこの少女は何も感じることができない――つまり、感情が全くないのだ
感情がなければ、当然表情もない。常に、無表情
勿論、この箱の中のこの生活しか知らない少女は逃げ出すということすら知らない
少女はまるで人形のようにその箱の中で毎日を過ごす……
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