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……それから五年間、私達は一緒に逃げ続けました
最初は常に全くの無表情で、さらに会話すらできない状態だったマカちゃんも徐々に簡単な意志疎通はできるようになりました
警戒するということも覚えてくれましたし、逃げなきゃいけない場合も覚えてくれました
でも……
リリア「マカちゃん、何か欲しい物とかありませんか?」
マカ「…………ない」
それでも彼女は無表情
リリア「わぁ♪可愛いお花です~♪」
マカ「…………そう」
……無感情
そう……私がいくら話し掛けても、何を聞いても、返ってくるのは淡々とした『答』のみ
そこに『感情』が宿ったことは今だにありません
リリア「……創造神イヴ様……本当に私はこれでいいのですか……?」
何度そうやって創造神イヴ様の神殿で祈りを捧げ、尋ねたかわかりません
しかしあの日……マカちゃんの存在を知ったあの日以来、イヴ様が私にお告げを下さることは今だありませんでした
そんなある日
リリア「あ、マカちゃん、これとか可愛くないですか?」
私達はとある街の『しょっぴんぐもーる』なるものに行き、買い物をしていました
そして、紫色――マカちゃんの髪や瞳の色と同じ、紫色の魔女帽子を手に取ってマカちゃんに見せた、その時でした
マカ「…………ねぇ」
リリア「?なんですか?」
マカ「……貴女はどうして……いつも私と一緒にいるの?」
リリア「……!」
今まで無感情だったマカちゃんが初めて感じた疑問という『感情』
それは他の人から見たら当たり前で……他の悲劇や感動ものの話と比べても凄くちっぽけな……見逃してしまうぐらいちっぽけな一歩……
でも、どんなにちっぽけでも彼女にとっては凄く大きな一歩
……気がついたら私は初めて会った時より大分大きくなった彼女の身体を強く抱きしめていました
マカ「…………?」
リリア「……それは、ですね……私がマカちゃんを大好きだから、です……」
マカ「……大好き?」
リリア「はい……♪」
まだ『大好き』の意味もわからないであろうマカちゃんは不思議そうに首を傾げるだけでしたが、いつか……いつかわかる日がきっとくる。そう核心しました
そして、その日まで……私は彼女を守り続けたい、いや守り続ける
私は、そう心の中で勝手にマカちゃんと約束しました
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