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投げ出された場の空気。
なんてなく気まずくて歌いたくても歌えない…。
どうにかしてよ!と叫びたくなるし、さっきから不適な笑みを絶やさない男子A君にもなんだか気に食わない。
…………。
やっぱりね、こんな時は余裕ぶっこいてるやつに打開して貰おう。
結局の所、そういう思考に行き着いた私はおもむろにデンモクを取り、美香の隣で不適な笑みを浮かべている男子A君の前にそっとそれを置いた。
すると、意外そうな顔でこちらを見てくる。
なに?その顔?ちょっと顔が普通の人より整ってるからって私はそんな事で差別はしないのよ
と、私は内心思いながらもにっこり笑った。
「さっきから全然歌ってないよね?せっかくだから歌ったらいいよ」
「いや…俺、あんまり人前で歌いたくない」
だから何だよ。そんなんで私が引くとでも思ってるのかしら
「美香。彼と一緒に歌ってあげて?」
「うん、いいよ」
1人じゃなきゃ、歌いやすいでしょ?
とでも言ったように美香に彼の助っ人をお願いする。
美香は嬉しそうに快く、その役目を引き受けてくれた。
「美香はいい子ねぇ~」
「…………。」
ちらりとA君を見てやれば、悔しそうな顔で私をじっと見ていた。
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