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返事は5分と待たずに来た。
だか、それはメールでではなかった。
鳴り響く携帯の着信音…と言いたい所だが、生憎と仕事中はマナーモードが鉄則だ。
いちいち休憩時間だからとそれを解除するほど、忠実な性格ではない私。
必然的に着信音など鳴らないし、ましてや私はスーパーサイレントと言うものを設定しているので、バイブレーションも起動しない。
実に静かだ。
都合が悪い時には居留守をしても、あの煩さが気にならない。
まぁ、今回は居留守はしなくていいから私は画面に彼女の名前が表示されたのが分かるとすぐにそれを通話に切り替えた。
「はい、こちら高坂美香ファンクラブ会長の雪武リノの携帯です。」
「…いつからそんなもん作ったのよ、アンタ。」
「0,3秒前です。高坂サマ。まさかご本人サマからお電話いただけるなんて…。ワタクシ共ファンクラブ一同、光栄の至りでございます。」
「何人いるのよ?それ」
「1人もいません」
「おいっ!!」
そこで私は思わず笑ってしまった。
ひとしきり笑い終えると変な脱力感に見舞われた。
「はぁ~、疲れた。ったく、なにやらせんのよ」
「リノが勝手にやりはじったんじゃん」
「だって、暇なんだもの」
「はぁ~…」
呆れ調子の美香。
だけど、それでも彼女もこういう会話を楽しんでるらしい。
後でネタにしては、友達と笑っているらしく、なぜか私が知らない所で私の名前は知れ渡っているらしいから可笑しな話だと思う。
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