俺とヤンデレな彼女

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アルカを背負って帰る。 うーん、背中に当たる感触がなんとも。 まあ、今更どうって事ない。ご察しのとおり、俺達はもういろいろ超えてるというか吹っ飛んでるのであった。ヤンデレ彼女とバカレシですから。嘘だけどね。 夕日が赤いなあ、とか思いながら歩いていると、 「わたし、強くなるから……」 という寝言が聞こえた。お前が今以上に強くなったら俺が危ないんだけど。 そして── アルカの特訓が始まった。神社の石段駆け上がり50セットから始めるという熱血系である。 走る彼女を、階段の上の石畳で寝っ転がって待つ俺。 今日も緑が柔らかく眩しいですなあ。 「あんた、なにしてるの」 突然上から声が聞こえた。あ、上って言っても俺は寝っ転がってるから、もしきちんと立っていた場合後ろにあたる場所だ。 「天使か」 「ヴェアたんですー」 視線を向けると、むすっとした顔の天使がいた。死んでなかったのか。 「あの後、リュアが来て大変だったんだけど」 「? ああ、あのサキュバスさんか」 「腰が抜けて立てなくなっちゃったわ」 「あ、そう」 「もちろんエロい意味で」 「そっちかよ! なんでお前サキュバスといちゃついてんの!? 馬鹿なの?」 「天使と悪魔が仲が悪いっていっても、個人的な関係までは左右できないわよ。A国とB国が戦争してても、A国民とB国民の組み合わせのカップルがいないわけじゃない」 「まあ、そうかも知れないが……」 てか、あんたキャラ変わってないか? もうちょっと馬鹿みたいなキャラだったのに。まあ、今でも馬鹿だが口調がちゃんとしてる。 「それはわたしが賢者モードだからよ」 「そうか。死ね」 「あ、倒すべき敵見つけたから。明日倒しに行く」 唐突! なにそれ! と、世界は俺の知らないところで勝手に進んでいっているんだと実感した日でした。
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