俺とヤンデレな彼女

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少年漫画の王道。 強大な敵が現れても、特訓とかすれば気合と根性と仲間との絆でなんとかなる。伏線は適当に張って適当に回収する。回収できなかったら、捨てる。 というわけで、俺達は地獄にいた。何が「というわけ」なのかは聞くな。 なぜかアルカも一緒にいるし。俺にもわけがわからん。 「ソウヤは私が守る」 ……。ありがとう。 「着いた。ここが夢魔長との待ち合わせ場所」 待ち合わせ場所って。決戦の場所なんだろ? 敵の大将との。 待つこと数分。 「ごめん、待ったー?」 パタパタと走ってきた男がいる。ダークグレーのスーツを爽やかに着こなした金髪の男だ。 「待った待った。2秒遅刻」 天使が言う。 「ごめんねー」 何だこいつら。 「えっと、あなたが決闘を申し込んできた……」 「天使のヴェア」 「階級は?」 「第十位で、所属部署は東方低空勤務第17分隊第5小隊」 「ほうほう。戦闘経験は」 「まだないけど、気合は十分」 「それは結構。ところで、待ち合わせにこんな辺境を選んだのはなぜですか? 別に地上でも良かったのに」 「日本じゃあ法律で決闘は禁止されてんのよ」 「そうなんですか。それで、これからの戦闘について意気込みをお聞かせください」 「とっとと始めろクソ悪魔」 何やってるんだこいつら。面接か? 「あなたは?」 男が俺に話しかけてくる。相手が男だったせいか、アルカは反応しない。 「いや、なんか巻き込まれたって感じ」 「それはそれは。で、後ろの方は」 「アルカか?」 「いえ、彼女です」 と指を指す。振り向くと、コウモリの翼を生やした女がいた。 「な、なんでお前が!」 アルカはどこへ行った? と探してみると、地面に倒れていた。サキュバスのせいに違いない。 「ふふ、あたしはそこの天使の彼女だから協力するわ」 と言って、俺に近づいてきて、俺の頬を舐めた。鳥肌が立って、しかし俺は眠くなった。 「何を……した……?」 「いい夢見なさいよ? あんたが夢のなかでイケばイクほど、あたしは強くなるんだから。ま、テクノブレイクしないようにね」 俺は眠りに落ちた。そして、家に帰ったら姉が10人になってて俺の争奪戦が始まった(性的な意味で)。どういう事だ……。
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