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蓮水は俺の真正面に立ち、まっすぐに俺を見据える。
「僕、勝負はフェアじゃないと燃えない性質なんで一応教えてあげます。
小野寺先輩と賭けをしてるんです」
「……賭け?」
「今日の放課後、小野寺先輩を屋上に呼び出します。
あなたが来たら、僕の負けです。
そうなったら、もう彼女に二度と付きまとわない。
でももしあなたが来ないなら、後からどんなに言っても絶対に返しませんよ」
それだけ言うと蓮水は満足そうに息をついて、俺にいきなり何かを投げつけてきた。
咄嗟に左手で受け取る。
「話はそれだけです。それ、どうぞ。
僕からのプレゼントです。
さよなら、九条先輩」
蓮水はもう俺のことなんて眼中にないように、足早に立ち去っていった。
手の中にあったのは、想像通りさっきよりもぬるくなったホットしるこだった。
「……プレゼントっつうか、俺の金じゃねーか」
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