21214人が本棚に入れています
本棚に追加
/511ページ
蓮水君に呼ばれて、屋上まで来てしまった。
「あの……蓮水君? どうしたの、急に」
いつもとは違う真剣な表情に戸惑ってしまう。
風が冷たい。
ひんやりとした乾いた風が肌を撫でていった。
「小野寺先輩」
身構える私を見て、蓮水君はよりいっそう真面目な顔になる。
そっと彼の手が私の頬に触れる。
「あ、あの、蓮水く……」
きつく瞳を閉じる。
むに。
「え?」
両手で頬を横に引っ張られた。
「鈍感」
「……え? あの……」
「いいんです。分かってたから。……ほら」
突然何者かが激しく扉が開き、静寂が破られる。
屋上に現れた人物は、足早に近づいてきてそのまま私をふわりと抱きしめた。
.
最初のコメントを投稿しよう!