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九条が愛おしそうに私の髪をかきあげる。
そしてすぐ耳もとで、低い声で囁かれた。
「好きだよ、千鶴」
「あっ……」
顔がかっと熱くなる。
名前で、呼ばれた。
それだけで私の頭の中は許容範囲をオーバーしてしまったのに、触れるだけの短い口づけが、目蓋に、頬に、髪の毛に、次々と降ってくる。
「ひゃっ……! 九条、恥ずかし……」
必死に抵抗しようと手をあげるけれど、その腕も簡単に捕まってキスされる。
「九条、ちょっと待っ……」
私が力を入れても、全く通じない。
改めて男の人なんだと意識してしまう。
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