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九条が妖艶な顔で笑う。
「だーめ。さっきあいつに触られてただろ?」
しっかり見られていたみたいだ。
「俺、嫉妬深いから」
目の前にいる人は誰? 私はこんな九条、知らない。
それに、私も私じゃないみたいだ。
触れられた所が全部、熱くなっていく。
口づけられる度に敏感になった身体が、ぴくりと震える。
「他の男に盗られるかと思って、ずっと気が気じゃなかった」
「そんなことっ……んっ」
心臓が破裂しそう。
身体の外も中も、じわじわ溶けていくみたい。
九条の長い指先が、首すじに触れる。
「怖い?」
「怖いっ……ていうか……
九条、じゃないみたい、だし」
意味を成さないと分かりながらも、悔し紛れに九条を睨みつけてみる。
「千鶴もいつもと違うよ?」
「え? どこ、が?」
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