小野寺 千鶴 ―オノデラチヅル―

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お兄ちゃんと私の年の差は一つ。 お兄ちゃんがうちの高校の二年で、私が一年。 だからたまに校内で見かけて話したり、行事でお兄ちゃんの応援をしたり、一緒に学校に行ったりできる。 そしてこの春、それぞれ三年と二年に進級する。 むっとした私は、頬を膨らませながら食器棚からグラスを取って、麦茶をそそぐ。 いつもおやつがおいてある棚をごそごそ漁った。 「あ、今日のおやつドーナツだ。いただきまーす」 むくれ顔で私はぱくぱくドーナツを食べまくる。 「つまんないなー」 「勉強でもしたら?」 お皿を洗い終わったお母さんは、タオルで手を拭いて私の向いの席に座って、ドーナツを食べだした。 「兄弟仲がいいのは、いいことだけどね。 千鶴見てると、なぁんか不安になるわ」 言いたいことは何となく分かるけど、仲が悪いよりはいいではないか。 .
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