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その時寝室のドアがゆっくりと開いて中から遥が出てきた。
無表情のまま周囲を見回して俺を見つけると向かいにいる翔太は全く無視で傍に来ると無言で俺を見上げる。
俺は苦笑して抱き上げると遥を膝に乗せて抱きかかえる。
遥は無表情のまま俺の胸に顔を埋めて目を閉じる。
その様子に驚いた表情で俺を見る翔太。
「な!驚いたな。随分可愛い子じゃん。でも・・・・・・しゃべらねえな?表情もないし・・・・・」
俺は頭を撫でながら言う。
「多分。自分を護る為に話さなくなって表情も乏しくなったんじゃないのか?」
俺の言葉に苦しそうに翔太は頷く。
「そうか。そうかもな。逃げても逃げても襲われるってのは・・・・・・・・苦しいよな。
俺も、情報収集で良く被害者と接するが・・・・・・皆。一様に心に傷を持ってた。
それが幼い時からずっとって・・・・・・・・・」
そう言って哀しそうに遥を見詰める。
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