第1章

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「もう最っ悪!」 夕暮れの帰り道、夕日に照らされて伸びる影が2つ。 「あと1点で満点だったんだよ!?スペルミスなんて、…ほんっと最悪!」 今日返却された、ライティングの答案用紙を掲げて悪態をつく彼女は金村凜(カネムラリン)。 …俺の幼なじみ。 「…俺、満点だったよ、凜」 「…コウって出来ない事、あんの? …今のところ、全部90点以上でしょ」 「まぁね」 嫌味たっぷりの口調の凜に、澄ました顔でしれっと答える俺は田代滉稀(タシロコウキ)。 地元で有名な進学校に通う高校3年生。 「でも、まだ4月じゃん。 今から頑張れば凜でも大丈夫じゃない」 「凜"でも"って何よ、でもって」 「…だからさ、馬鹿な凜でも頑張れば…」 「もういいよっ。 訊いた私が馬鹿だった!」 「………。 …今さら?」 「コウっ!」 .
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