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「ねー、コウ?」
頬を膨らませた凜は、こちらを見ずに俺の前を歩き、夕焼けに染まった空を見ながら俺を呼んだ。
「何」
「コウはさ、進路決めた?」
「進路…」
進路ねぇ…。
「凜と結婚すること」
…なんて言ったら、きっと凜は、「ばかじゃないの!」とか言うんだろうね。
誰が聞いても馬鹿げてると思うし…、言うつもりなんかさらさらないけど。
「一応、大学に進学するつもり。
…凜は?」
「私?…私ね、小学校の先生になりたいの。
あのくらいの子供、好きだし」
「…ふーん」
くるっと振り向いて答える凜の瞳はキラキラしている。
昔から子供好きだもんな。
「ん?反応薄くない?」
「うん」
「認めるの!?」
…そりゃ、凜が小学校の先生になりたがってる事くらい、十何年も一緒にいたら分かるし。
じゃあ訊き返すなって話だけど。
「ま、凜なら大丈夫じゃない?
…子供に好かれるタイプだし」
俺は、ごまかすように話を逸らした。
「あ、話逸らしたー。
コウって性格悪っ」
…………。
凜ってちょっと酷くない?
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