第1章

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「ねー、コウ?」 頬を膨らませた凜は、こちらを見ずに俺の前を歩き、夕焼けに染まった空を見ながら俺を呼んだ。 「何」 「コウはさ、進路決めた?」 「進路…」 進路ねぇ…。 「凜と結婚すること」 …なんて言ったら、きっと凜は、「ばかじゃないの!」とか言うんだろうね。 誰が聞いても馬鹿げてると思うし…、言うつもりなんかさらさらないけど。 「一応、大学に進学するつもり。 …凜は?」 「私?…私ね、小学校の先生になりたいの。 あのくらいの子供、好きだし」 「…ふーん」 くるっと振り向いて答える凜の瞳はキラキラしている。 昔から子供好きだもんな。 「ん?反応薄くない?」 「うん」 「認めるの!?」 …そりゃ、凜が小学校の先生になりたがってる事くらい、十何年も一緒にいたら分かるし。 じゃあ訊き返すなって話だけど。 「ま、凜なら大丈夫じゃない? …子供に好かれるタイプだし」 俺は、ごまかすように話を逸らした。 「あ、話逸らしたー。 コウって性格悪っ」 …………。 凜ってちょっと酷くない? .
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