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「え?」
こうじはその言葉に少しいらっとした。そこまで言うのなら、取りましょう先輩と心の中で笑った。
「じゃあ、お言葉に甘え、て!」
その瞬間、こうじは裸足で駈け出した。先輩が向かってくる。それを阻む、阻む、阻む!先輩はくるくる回ると距離をとった。
「ひょー、さすが名門中学の奴だけある。ガードがすげえや」
「こっちもそれだけのプライドがあるんで…!」
だが、こうじは内心焦っていた。片手なのに取れる気がしない。と感じていた。それは、先輩と自分の経験年数か、はたまた技術力の差が不安をあおるのか、こうじにはわからなかった。
「ぼーっとすんなよ。勝負だぞこら」
目の前に先輩がいた。やばい抜かれる。
「はー…、やっぱまだまだひよっこだなあ。まだ生まれてもないかも」
「何を…」
「つまんないって言ってんだよ。お前」
鋭い眼光ぞくっとした。こうじは硬直した。その一瞬の間に先輩はシュートをうった。ざしゅっと乾いた紐の音がした。これが、大分県立東ヶ丘高校、バスケットボール部の実力。こうじの自信がぐらついた。
「俺ん名前はすぐる。さっさと入部しろ」
ひょろひょろっと手を仰ぐと、口の悪いせんぱいは言った。続いて大男も「俺は、渡辺トモ、。よろしくな」
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