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まるで地獄の底まで繋がっているかの如く、延々と続く縄梯子を降りると、開けた空間に出た。一言で表すなら、そこは洞窟だった。地下と言う事もあり、空気がこもり息苦しさを感じる。洞窟の奥は暗くてよく見えないが、まだ空間は広がっているらしい。
二人は周囲を警戒しつつ少しずつ奥へ進んだ。暫く進むと不意に前方から光が。次第に狭まる一本道を慎重に進み、更に先を行くとそこには――村が、あった。
「地上の下に、こんな巨大な村が…!?」
驚きを隠せないらしく、エルは思わず立ち尽くしそう呟く。彼の言う通り、眼前には相当の規模の村が見える。恐ろしく大規模な洞窟の中に、幾多もの石造りの家が建ち並び、辺りには決して多いとは言えないが、村人らしき人間が活動しているのが見える。
あまりの予想外の展開に、エルとアリアがその場に棒立ちになっていたら、一人の若い男がこちらに気付いたのか慌てて駆け寄ってきた。そして彼は興奮した様子で言ってくる。
「きっ…君達!もしかして地上から来たのかい!?」
「あ、ああ…」
「何て事だ!生きている内に地上の人間に出会えるなんて!」
男はすぐに踵を返して走り去りながら、大声で村中に聞こえるのではないかと言う程の声量で叫ぶ。
「みんな~ッ!!地上から人が来たぞおおっ!」
その声を聞いて、我先にとエル達に村人が集まってくる。あっと言う間に周囲は村人で囲まれてしまう。皆の様子を見る限り、敵意は無いらしい。
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