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「僕が来るまで それ程時間は経ってなかったはずです!殺す必要などあったのですか!?」
ガクガクと膝を震わせ目の前の死体を見ない様 魔王を見据えて少年は叫ぶ
「我(われ)が王だ!!我が規則なのだ!我が遅い 王子はもう来ないと思った時点で "これ"の発言は嘘になる!だから殺す事は必要だったのだ
ガッハッハッハ!」
魔王は座っていた椅子から立ち上がり両手を広げて声を張り上げる
"暴君"
その言葉がぴたりと当てはまるのが深紅の少年の父
父様は狂っている…!
少年は腕を広げ大きく笑う目の前の魔物を 心底恐れた
少年は自分の父に本気で恐怖を覚えてしまった
目の前で笑う魔物に自分もいつか殺されてしまう
そんな事が脳裏をかすめ あまりの恐ろしさに少年は逃げるように走り出し その場を去る
ひとしきり笑った後 魔王は少年がこの場に居ない事に気付く
どさりと勢いよく椅子に尻を埋め さっきまで笑っていたかと思えば 今度は不機嫌な表情を浮かべている
「我が息子のくせに 腰抜けな奴だ…おい!その死体を片付けろ!」
魔王のその言葉に椅子の後ろにいた二人の魔の者が急いで死体を担ぎ出す
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