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明くる日
深紅の少年は西の岩山を目指し歩いていた
動いていなくては…
あの場所に居ては自分が自分でなくなってしまうような衝動に駆られ
少年は自身が慕う漆黒の獅子に会いたくなった
「西…西…」
漆黒の獅子は翼で飛び 短い時間で来れる距離だが
少年は飛べない上にまだ幼い子ども 獅子の居る西の岩山までは果てしない距離だ
「西…西…」
そう呟きながら 遥か向こうにそびえ立つ岩山を見つめて歩みを進める
少年が葉の無い木々が密集して生えている森の様な場所に差し掛かったとき
その木の影から四匹から五匹の 狼を一回り程大きくした薄汚い魔獣(まじゅう)が姿を見せる
魔獣は少年を見つめたまま グルル グルルと喉を鳴らし威嚇をしている
「……どうしよう」
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