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《私に興味を持つとは面白い童よ
……だがここにいてはいけない
……に
……逃げるの
……だ》
札は口調が途切れるのに合わせるように淡い輝きは段々と薄れていく。
「札、逃げるってなんでだ?」
《安……べが……
せ…い…めいが……》
「安べ?せ?い?めい?」
夜叉丸が途切れる札の言葉に耳を必死に傾けるが遂にはその輝きは消え元の古びた札になってしまった。
「ばか。安倍晴明、都随一の陰陽師よ。知らないの?」
「知らん」
何も知らないんだなとため息をつかれても夜叉丸は自信満々に答える。
「でも安倍が来る。逃げろ?
一体どういう事?確かに晴明さんは陰陽師……
だけど罪のない妖怪を手にかける事はしない筈なんだけど」
「でもここ危ないんだろ?んじゃ~さっさと帰ろうぜ!!遅くなってまた飯抜きは嫌だぞ」
夜叉丸は腕組みをして考え込む那智を横目に腹も減ったし帰る素振りを見せる。
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