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既に日も暮れかかっていた為那智も反対はせずに一旦家に帰る事にした。
祠に背を向け丘を下りだした2人……
祠に祭られた古びた札が音もなく紅黒い炎に包まれ灰も残さず宙に消えた事に気づく事はなかった。
丘を下って平坦な道を歩きながら先ほどの会話に少し興味を持ったのか夜叉丸が那智に尋ねる。
「なぁ、安倍晴明ってどんな奴なんだ?」
「私も外に出た事ないから知らないけど凄い強くて、優しくて、そして……」
「強くて?優しくて、……そして?」
ただ強いの言葉だけに反応して瞳を輝かせる夜叉丸。
「なにより絶世の美男子!!」
「へぇ~」
夜叉丸は那智のテンションの上がり具合に一気に興味が失せたようで白い目で返す。
「人の話は……えっ!?」
那智が白い目を向ける夜叉丸に向かって拳を振り上げるとその言葉を遮るように
里の入り口の家屋から夕暮れを更に赤々と照らす爆炎が上がる。
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