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爆炎の先を見ると粉々になった木片が宙にまっていた。
「なんだ!!……火事か!?」
「……ってばか、火事で家が吹っ飛ぶ訳ないでしょ!?急ぐわよ」
マイペースな夜叉丸にしっかりツッコミを入れつつ目前に迫った自宅へ走り出す。
「お義父さん!!大変よ」
「親父、火事だ。でっけぇ火事!!」
慌てて喋る那智に対して夜叉丸は目を輝かせて火の大きさを両手を広げて表現する。
「やっと帰って来やがったか」
大きく欠伸をすると気だるさ全開で体を起こし頭をかきむしる夜叉丸の父親。
(ちくしょう、アイツ本気なのか?)
「お義父さん、あれは何んなのよ!?」
事の重大さを目の当たりにした那智は危機迫る表情で無道丸に詰め寄るが……。
「取りあえず……
逃げる!!」
「おう」
言うや否や夜叉丸と共に家を飛び出し外に走り出して行く。
「はぁ!?答えてないし」
那智も慌てて後を追うが辺りの風景の変化にその場に立ちすくむ。
古びた家屋が並びのどかだった集落が夕日よりも赤々と燃える激しい炎に支配されていたのだ。
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