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天羅の里
とある山奥にある小さな集落。
見るからに裕福ではなく所々補修の後がある家屋が並ぶ。
そんな中一軒の軒先に金髪のボサボサ頭を揺らし1人の少年が走って来た。
「お~い、夜叉丸~、那智~」
覗こうと思えば覗ける程穴の開いた戸に向かい大声で叫ぶと中から人……
ではなく穴の開いた戸を突き破りしゃもじが飛び出してきた。
不意に現れたしゃもじに対応出来る筈もなく少年のおでこに衝撃が走り、痛みで瞳に涙を溜める。
「こらぁ~。そんな大声出したら御近所迷惑でしょ~が」
と先ほどの少年と同じくらい大きな声をあげ、オレンジ色の浴衣を着た茶髪の少女が家から出てくる。
その後ろからは白い着物に赤髪の少年がとばっちりを受けぬよう外の様子を伺っていた。
「那智の声もでけぇじゃんか」
「うるさい。あんたの声は耳障りなのよ」
睨み合って視線で火花を散らせ合う2人。このままだとエンドレスに悪口の言い合いになりかねないな。
「で鬼堂丸は何しに来たんだ?」
夜叉丸はいつの間にか鬼堂丸の隣に出てくると軽く肩を叩いて話を逸らす。
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