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「おーい。金髪ツンデレ探偵。俺を蔑ろにするなー」
「あ、悪りぃ…。ん? おい、テーブルの上に何かあるぞ」
「え?」
テーブルを見てみると、確かに何か置いてあった。
これは……煮物に混ぜご飯?
「スッゲェうまそう! なァ群青、コレ食っても…」
「いや、食わない方がいい」
「は?何で??」
不満そうに尋ねる金髪に、俺はさっき見つけたメモを見せた。
料理のそばに置かれていたメモ。
そのメモには見慣れない筆跡でこう書かれていた。
『幸一さん。よろしかったら食べて下さい。自炊など、何か困ったことがありましたら何でも仰って下さい。お手伝い致します。』
「見え見えのご機嫌取りだな」
「やっばりそう思うか。じいちゃんが死んでから、こういうのばっかなんだよ。恩着せがましいんだよ!」
そう、このメモは馬鹿な親戚の誰かが俺のご機嫌を取るために作ったものだ。
何故そんなことをしてくるのか最初は分からなかった。
でも、もし俺が本当にじいちゃんの遺言書を隠していると仮定するなら、それはある意味正しい判断なのかもしれない。
だって俺に媚びを売っとけば、遺産の分け前が自分のところにも転がってくるかもしれないと考えられるからだ。
あー何かイライラしてきた!
家探しされんのも、遺言書を隠したとか言われんのも腹立つけど、こういう恩着せがましいのと、下心見え見えなのが一番腹立つんだよ!!
「群青ォ~。お前顔怖ぇーよ~」
「!?」
脱力したような、ふざけたような声と同時に、人差し指で頬っぺたをつっつかれた。
……何してんの??この金髪。
「…探偵サーン。…何してんデスカ?」
「ガス抜き」
「!」
「ふは!」
変な笑い方をする金髪に、何だか毒気を抜かれてしまった。
あ、だからガス抜きっていうのか。
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