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「つーか群青。今思ったんだけどさ…」
「ん?」
「お前のジイサンって、かなりのやり手だったんだろ? だったら弁護士の1人ぐらい雇っててもおかしくねぇんじゃねーの?」
「あーそれな、それは親戚連中がとっくに調べたよ。でも結局、じいちゃんは弁護士なんか雇ってなんかなかったみたいだけど」
「チッ、ハズレか」
そう言って舌打ちをする金髪の表情はやけに凶悪だった。(ここだけ見たら本当にただの不良だな)
「あ。じゃーアレは?大事な物とか、思い出の物の中にこっそり隠しとくとか」
「じいちゃんの大事な物とか思い当たる節がない……あ、」
「お?」
「そういやじいちゃん、初恋の人から貰った時計を大事にしてたような…」
「それだ!」
あぁー…何か金髪の顔、自信満々って感じですごいキラキラしてるよ…。(もしかしたら髪が光で反射してるだけかもしれないが)
「群青!とりあえずジイサンの時計見せてくれよ!!」
「……」
今更だが…
この金髪って表情が本当に豊かだと思う。
悪く言ったら顔に出やすいだけなのかもしれないけど。
あ、てゆーか時計調べないとだな。
「群青ォ~。時計見せろっつーの!」
「分かった分かった。今見せるって」
今度は駄々っ子みたいな表情だ。
何となく、我が儘な弟の相手をしてる気分になった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「これが、じいちゃんの時計だ」
「…俺が予想してたのと違う」
「は?」
「俺が予想してたのはもっと小さい時計だったんだ!!」
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