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「…俺は今、無性に怒ってる」
うん。まァそれは見て分かるが…。
「何で怒ってるか分かんねぇっつーツラしてんな。なら教えてやる。お前、蔑ろにされていい顔する奴がいると思ってんの?」
「!!――…」
“蔑ろ”
その言葉は俺の胸に痛いくらいに突き刺さった。
だって、蔑ろっつーのは親戚連中が俺にしたことそのままじゃないのかって気づいちまったからだ。
相手を軽視する行為。
俺は遺言書を見つけたいあまり、この金髪を軽視してしまったんだ。
……すごく恥ずかしくて、申し訳なくて、失礼なことをしてしまったと改めて思いしらされた。
「…ごめん」
「いや、」
「……」
「……」
再びの沈黙。
しかも今度は嫌な沈黙だ。
いや、俺が悪いんだけど…。
「まァーお前が言いたいことも分からんでもない」
「え?」
「だって俺、見るからに胡散臭せぇじゃん。金髪だしツリ目だし、なのに少し女っぽい顔してるっつわれるし、万年スウェットだし」
「いや、別に胡散臭いとは思ってないぞ」
「それに結局、俺に依頼すんのを最終的に決めるのはお前だしな。で、お前はどうしたいんだ?」
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