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『正面の信号は赤、右方向は青。よし右だ!』アタシの足取りはさっきとは打って変わって軽くなっている。
『正面・右方向赤、よし左だ!!』
アタシの脳みそを支配していたモノが徐々に空へと浄化されていく。
『正面青!よし真っ直ぐだ!』アタシの足は自然と走り出した。
走り疲れて、下を向いて歩いていると、タンポポの種がワサワサと揺れている。
『アナタも家出してみない?きっといい出会いを見つけられるかもよ?』そう言って、種に息を吹きかけた。
タンポポの種は暗闇にフワフワと浮かんで行き、アタシはその一つを追いかけた。
すると信号機が再び現れて、正面が青で点滅している。
『タネ!!急げ!!赤になっちゃう!!』アタシは慌てて走り出した。
しかし信号は赤へ変わり、タンポポの種はユラユラと右方向へ流れて行った。
『偶然ね。アタシも右だよ。』右方向の信号が青に変わった。
そのまま道なりに少し進むと、聞き覚えのある声が。
『明日香!!どこ行ってたの!!』
知らない間に家の前についていた。
『ちょっと、散歩をね。ごめんなさい。』
フと上を見上げると、さっきのタンポポの種がアタシの家の庭にこっそり入っていった。その時のアタシはまだ知らないのだけれども、
翌年庭に綺麗なタンポポが咲きました。
end.

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