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「最後に聞こえたその声は、賢治君だった。私はただの脅しだと思って、賢治君の家に行ったの…そしたら…」
栞のお母さんはそこまで言うと顔を手で覆って泣き始めた。
「大丈夫ですか!?」
嗚咽を始めたお母さん。
頭が上下に揺れ始めた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛」
栞のお母さんの顔がどんどん歪んでいく。
白目を向いた目は、赤く充血していく。顔はどんどん蒼白くなり、口から血を吐き始めた。
「きゃああああ!」
千奈美達が叫ぶ。
「だず…げで……」
首がだんだんと左に折れ曲がっていく栞のお母さんが近づいてくる。
「い、いやぁ!」
私は後退りしてしまった。
栞のお母さんは一瞬悲しそうな顔を見せたかと思うと、満面の笑みに変わって
「栞をお願いします。」
そう言って…
ドシャッ
…その場に崩れ落ちた。
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