始まり

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「着いた。」 私達は賢治の家の前に来た。 古い木造アパートの2階、22号室が彼の部屋だ。 賢治は華の幼なじみだった。 華の紹介で栞と付き合い始めた。 「こんな事になるなら、紹介なんかしなければよかった…!」 華は唇を噛み締めた。 「華のせいじゃないよ。それにまだ栞がどんなになってるのかも、分からないじゃない。とにかく行ってみよう?」 「うん…」 私達はゆっくりと階段を登った。 ギシ…ギシ… 一段ごとに今にも壊れてしまいそうな音が鳴る。 22と書かれたドアの前で止まり、私がノックしようとすると 「ウチにやらせて。」 華は私の前に立ち、大きく深呼吸をした。
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