始まり

10/12
前へ
/167ページ
次へ
「離れろ…?嫌だよ、俺は栞を愛してるんだ。誰にも…誰にも渡さない。」 賢治は華の腹に包丁を突き刺した。 「う゛っ」 「華!」 私は華を賢治から離そうと手を引っ張った。 「逃がさない…お前、栞を狙ってるんだな?」 賢治はものすごい速さで追いついてきて、華を刺しまくった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛…!」 目の前で華がどんどん赤く染まっていく。華は叫び続けていたけどすぐに静かになった。 賢治は満足げに栞の元へ歩き出した。 「は…華?ねぇ華?」 私はバラバラに散らばった華の欠片を集めた。 涙が止まらない。目の前で2人も友達を失った事なんて、初めてだったから。 「もう嫌…。離れたい…」 栞の声が聞こえた。 私は急いで栞の元へ向かった。 栞は、立ち上がって必死に逃げようとしていた。 目からは涙がこぼれていた。 「…千奈美…。華…!」 死体を見ながら今の精一杯の声で叫んでいた。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

332人が本棚に入れています
本棚に追加