「短編小説1」

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どこに向かってるのか、何かあったのか。 何もわからないまま、周りの景色が変わっていく。 胸騒ぎがしてきた。 この道はわかる。 先週、僕が風邪を引いて病院に来たときの道だったから。 他の用事ではこの道は通らないし、病院に行くときくらいしか使わない道。 何だよこの胸騒ぎは… 「母さん…。……知ってるの?」 「……」 「着くよ」 病院に着いて、急いでいる母さんに着いていく。 受付で何かを聞いて、場所がわかったのかそこに向かう。 頭がついていかず、どこを通ったのか、どこの場所にいるのかはわからなかった。 手術中のランプがついている扉の前には、見覚えのある二人の姿があった。 嘘だ… まさか… 「あ……」 精一杯絞り出したが、まともな声にならない。 「翔君…」 二人の内の一人が、こちらに来て声をかけてくれた。
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