「短編小説1」

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小さかった時の事は曖昧にしか覚えてないけど、楽しかったときの思い出だけは不思議と思い出せた。 色んな思い出が溢れ返ってくる。 溢れ落ちる涙と同じように。 そして、いつの間にか寝てしまっていた。 葬式の日はあっという間だった。 でも僕は、何もかも無気力。 花奈さんから貰った向日葵の種は、庭に埋めてある。 葬式から帰ってきて、すぐに埋めたんだ。 僕は埋めているときに、花言葉を思い出した。 『あこがれ』 花奈さんに憧れてたのかもしれない。 好きって気持ちは確かにあったけど、憧れているってのもあったと思うんだ。 元気で明るくて、周りを笑顔にする花奈さんに。 だから、本で花言葉を見たときにあの言葉に、何かを感じたんだと思う。 僕にとっても、向日葵は特別な花になった。
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