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「もう、俊太君ってば、いっつも起きるの遅すぎだよ。」
「早起きしても、花乃みたいに準備が遅かったら意味ねーじゃん。」
無駄口をたたきながら、校内の階段を駆け上がる。チャイムが鳴り終わったと同時に、俺たちは教室に入った。
「セーフ。間に合ったみたいだな。」
チャイムがなったにもかかわらず、生徒はみんな好き勝手なことをしている。先生がまだ来ていないらしい。時間にうるさい担任がまだきてないなんて、珍しいこともあるもんだ。
「よう、相変わらずの同伴出勤ごくろうさま。」
「おう、まったくだ。花乃に付き合って毎朝遅刻じゃ、たまんねーよ。」
話しかけてきたのは中村。クラスではそこそこ仲のいい友人だ。
花乃は俺の言葉が気に入らないらしく、頬を膨らませて拗ねている。だって本当のことだろ? 断じて、俺の起きるのが遅いせいではないと、開き直っておく。
「ヨッシー、まだ来てねぇの?」
ヨッシーとは、俺たちの担任、吉岡先生のことだ。教師にあだ名をつけるのは、高校生によくある遊び心。黙認してくれ。ちなみに、1年の時の担任もヨッシーだ。
「ああ、会議してるみたいだぜ。ニュースでやってた、公園の事件。」
なるほど、ご苦労なことだ。学校の近くで変死体が見つかったとなれば、その対応におわれるわな。もしも生徒に被害が出たりすれば大事だ。
まあ、俺にしてみればただのラッキー。
「おはよう。全員さっさと席につけ。」
噂をすればなんとやら。俺の背後でドアが開き、ヨッシーが入ってきた。
全員が席についたことを確認すると、いきなり話をきりだしてくる。
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