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幸せな家族ってどんなの?って聞かれて、あなたならなんて答える?
そんなの聞かれても困っちゃうよね。わたしも戸惑った。なんて答えたらいいか分からなかった。
ううん。ちょっと違うかな。
「彩(カナデ)って家とか大変でしょ?ほら、お兄さんの看病とかさ」
何気なく言ってくれたそんな言葉。もちろん友達に悪気なんてなかった。でも生来、あまりポジティブには生きてこれなかったわたしには、それが少し心に引っかかった。
気遣ってくれてるそれが、まるでわたしが普通じゃない、とんだ災難にあった不幸な女の子だって、そう言っているようで。
確かにわたしはその昔、大きな事故に巻き込まれて左手から先は義手だし、臓器もいくつかは人工臓器。お兄ちゃんは怪我が酷くて、今じゃもう寝たきり。感染症の影響で体も悪くなった。
事故以来、世間のわたしたちを見る目は変わった。当時まだ幼かったわたしには、それがよく分かった。視線に敏感になってた。
でもそれは当然のことなんだ。少ししてからそれが分かるようになった。
わたしたち家族は事故に巻き込まれた被害者で、周りの人達がそれを気にしないでいるなんてできようか。
少なくともわたしには無理だよ。
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