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「ああ゛――っ!!もうダメ限界だ――っ!!」
魂のぬけるような調子でキーボードの上に突っ伏した男は、「あーもう今終わってもいいやー」などと遺言を残しながら、その目蓋がとろんと垂れ下がる。
「寝たら死刑な。社会的な意味で」
「そうっ!俺の怠惰の感情など、この燃え上がる熱意の前ではおが屑同然っ!眠さ?はっ!そんなもん第一次成長期の時に純真と一緒に既に綺麗さっぱりお陀仏さ!ヒャハーッ!」
目を真っ赤に充血させながらパソコンデスクに向かう若い男の向こう側で、あきれたように同じくらいの歳の童顔の男が
「目がイッちゃてるよ、針さん……」
頭をかっくんかっくんさせながら、それでも手元だけは32ビートでリズムを刻みながら言う。
「アルも頭がぐるんぐるんしてますよ、物理的な意味で」
そうアルと呼ばれた少年の後ろで、長く青い長髪を後で結わえた二人に比べれば幼い少女が、死んだ魚のような目で手元の用紙を手で宙にぶら下げながら言った。
換気扇の不必要に煩わしい音がBGMとなって部屋を踊らせていた。ブラインドの狭間から差し込む光に照らされる薄暗く埃っぽい部屋の中で、アルと言われた少年が手元を踊らせながら足で床の上に散らかった用紙をひょいと拾い上げる。
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