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その頃おじいさんは山にいた。
今回も目的が無いものと思われたが、違った。
おじいさんは目を輝かせていた。
それは若かりし頃、この山の麓で林業関係の会社を経営していたあの頃の、常に上を目指していたあの頃の様なギラギラとした目であった。
そして……
おじいさんのその手には、『いけないかぐや姫』の優待券が、これでもか!とばかりに強く、それは強く握り締められていた。
後におじいさんは
「桃源郷を見た……」
とだけ残している。
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