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おばあさんは停止した時の中を、一歩、そしてまた一歩、桃へ向かって進んで行く。
そして、その桃を拾い上げ……
シャクリっ
「……美味い………」
その桃はたいへん美味であった、後にも先にも、あれ程の桃には出会った事は無い、とこれも後に語っている。
しかし、おばあさんは気付かないでいた。
歳のせいではなく、あまりの桃の美味さに。
この停止した時間を自分が作り出していると言う事に。
おばあさんは必死に桃にかぶりついた。
その美味さ、鮮度を逃すまいと。
おばあさんが桃を完食し、ふと我を取り戻した頃、停止した時は既に動き始めていた……。
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