何をするのも自由である。

2/2
前へ
/2ページ
次へ
 天にまで届くかと見間違えるかと思うほどに長い一本の竹を見付けては、取り敢えず憂さ晴らしに自慢の右ストレートを叩き込む。  小気味良い音を立てながら、それだけで何日か掛けて生長したであろう竹を、簡単に粉砕出来てしまう。  殴った代償に右手も痛いけど、そこはまぁ我慢だ我慢。  もう一本、近くに生えていた竹を、今度は手刀……チョップで切るように叩いてみる。  どこぞの達人ないし、格闘漫画の一シーンのように綺麗に切れるかと期待してみたものの、やはり殴った時と同じように割れた音を立てながら、近くにある竹に支えられるように倒れていく。  んで、やっぱり右手痛い。  密集するように生えている竹林、一本や二本を割った所で特に何か変わるわけでもない。少しばかり気が晴れる……事もないな。 「……アカン、これ完全にアカンやつや」  後ろ頭を掻きながら、独り言を呟いた俺。関西弁みたいになったが、そこはスルーしてほしい。  そもそもさぁ、迷いの竹林なんて誰が作ったんだよ。自然現象だとか、そこに住む姫さんのせいだってのは知ってるよぉ、ついでにそこに入る俺も俺なんだけどさぁ。 「あー……」  口では意味の無い事を吐くが、頭の中は超COOL。すまん嘘、実は若干パニクってる。自分でもパニクってると思えるほどには冷静だけど。 「こんな時は110番。いやここ幻想郷じゃねーかよー」  終いには頭を抱えてしゃがみこむ。万策尽きたわ、マジ万策尽きた感ハンパねーわ。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加